彼女の一大決心
ちっちゃくてかわいい彼女はあたしの彼に抱きついて言うの。
「わたし、つかさとぜったいけっこんするの。だからつくしちゃんはあきらめて。」
そして、ちっちゃくてかわいい彼もあたしに抱きついて言うの。
「ぼくは、つくしとぜったいけっこんするんだ。だからつかさはあきらめろ。」
2人は司のお姉さんの子供。
この2人、一卵性で顔はそっくりなのに、言う事はまるで反対。
司に抱きついてるのは響子ちゃん、5歳。
あたしに抱きついてるのは伸樹くん、5歳。
響子ちゃんは司にベッタリで、伸樹くんはあたしにベッタリ。
伸樹は私に似たんだわってお姉さんが言ってるけど、響子ちゃんは・・・?!
今回、仕事の関係でこの双子ちゃんを連れて帰国したお姉さんは、今は仕事で出かけている。
だからその間、あたしと司がめんどうを見ることになったんだけど、これが大変、大変。
伸樹くんがあたしから離れないから、司が怒る怒る。
でもね、あたしが気になってるのは響子ちゃん。
彼女は司から離れない。
もう接着剤でくっついてんじゃないかっていうぐらいベッタリ。
そしてすっごくかわいい声で言うの。
「つかさぁ〜響子の事すきぃ〜??」
司も子供はキライなはずなのに、自分の姪っ子だからか、すっごく顔がにやけてる。
「おぉ、好きだ。」
「響子もつかさのことだぁ〜いすきぃ〜!!ずぅ〜っとそばにいたぁい。」
そう言って彼女はなんと、司にキスをした。
ちょっとちょっと、キスってのはありですか?!
そして彼女はあたしに勝ち誇ったような流し目。
なぜでしょうか・・・5歳の子供に、こんなにも敗北感を感じるのは・・・。
つくし、よく考えて。相手は子供。そう、子供なのよ!
司と彼女はおじさんと姪なんだから。
・・・ってなんであたしは2人のこと心配してんのよ?!
心配する必要ないんだってば。
「つくし、つかさは響子とラブラブだから、ぼくもつくしとラブラブする。」
そう言って伸樹くんは、あたしの首にぎゅ〜っと抱きついた。
たぶんそれが司には、首筋にキスをしてるように見えたらしく、
さっきからのニヤニヤは消えて、険しい顔になる。
「伸樹、てめぇオレのつくしに自分のものみたいにキスマークつけんじゃねぇ!!
つくしにキスマークをつけていいのはオレだけだ!!!」
ちょっとーーーーー!!!!教育上よろしくないこと言うんじゃない!!!
「あんた変な事言わないで!誰もそんな事してないわよ!!」
「いーや、絶対にキスマークつけようとしてた!!」
5歳の響子と伸樹には、キスマークが何なのかわかるはずもなく、
「ねぇ、キスマークってなぁに??」「ねぇ、どんなもの??」
子供が質問をしだしたら、ちゃんと答えるまでしつこい。
あたしはどう答えていいかわからずあたふたしていると、伸樹くんが指差した。
「ねぇ、これがキスマーク??」
そう言って指をさしたところは、あたしの鎖骨の赤くなってる部分。
自分でも顔が赤くなるのがわかったけど、ごまかす言葉が見つからない。
だからこんなとこに付けないでって言ったのに・・・・
「おぅ、それがキスマークだ。オレのものっていう印!」
司はさも自慢げに言うけど、子供にそんなこと教えちゃいけないのよ!
ってゆーか、子供の前じゃなくてもそこはウソでも否定してよ!
すると響子ちゃんがすっごい不機嫌な顔で叫んだ。
「響子もつかさの印がほしい!!!」
そう言って部屋を出て行ってしまった彼女。
いやいや、ほしいってそれはムリでしょっと思いながらも、
心配になってあたしは彼女を追いかけた。
やっと彼女を見つけて声をかけると、彼女はあたしを睨む。
「つくしちゃんはほんとうにつかさのことすきなの?!
響子がつかさとラブラブしてもなにも言わないし、ほんとうに好きなのかわからないわっ!
ちゃんとほんとうのこと言って。
つかさがいないから言えるでしょ?!」
・・・子供にここまで言われるあたしって・・・
でも今にも泣き出しそうな彼女。きっと本当のことを言わないと泣いてしまう。
「本当に好きだよ。響子ちゃんと司がくっついてるのも、あまりいい気分じゃないし。
でもホラ!あたしって素直じゃないからそういうこと言えないのよ。」
ホント素直じゃないのねっとあきれて言う彼女に少し顔が引きつる。
「・・・じゃぁ、つかさにもつくしちゃんの印がついてるの??」
・・・なにを言い出す、5歳児。
けれど彼女の目はごまかしたら許さないんだからっという目。
「・・・はい・・・」
ぎゃーーーあたしアホだーー!!!なんで素直に答えてんのよー!!!
すると彼女はため息をついた。
「じゃぁつかさの赤ちゃんを産んでくれたら、つかさのことはあきらめるわ。
どうなの?産んでくれる??」
・・・話が飛び過ぎです、響子ちゃん。
けれど彼女の目はさっきと同じ。
「・・・はい・・・」
その瞬間、後ろから抱きしめられる。
「やっと決心したか。マジでうれしい。」
最悪・・・・・なんで聞いてんのよ・・・・
「オレがんばらねぇと!!」
すっごく機嫌がよくなった司。
ねぇ、教育上よくないって言ってるでしょ・・・
それにそういうこと言うと・・・・
「ねぇ、がんばるってなにをがんばるの??」
ホラね・・・どーすんのよ、バカ。
その日、あたし達がお姉さんに怒られたのは言うまでもない。
〜Fin〜
あとがき。
抹茶ぷりん様のリクエストはつかつくの甘甘・・・あれれ・・・
これは甘甘なのでしょうか・・・爆”
本当に申し訳ないです。なぜか最初に妄想していたのとはどんどん離れていき、
こんなものになってしまいました。汗”
もう書き終わって、読み返して、撃沈・・・・涙”
とにかく(?)「抹茶ぷりん様」、キリ番150踏んでくださってありがとうございます!
NOVEL