未来のために




「あたしは英徳には行かないの!!!」


ピッ・・・・なんなのよ、あいつ!!!なんでわかってくれないわけ?!


あたしは今高校3年生。道明寺はNYでがんばっている・・・らしい。

あまり頻繁に電話やメールはしない・・・というよりできない。
あっちはあっちで仕事と大学の両立。あたしはあたしでバイトと学校。

そして時差。

だからあいつががんばっているってのは時々F3から聞くくらいであまり知らない。
でも、あいつのことだから文句言いながらも必死でがんばっているだろう。


寂しくないって言ったらウソになる。でもあいつががんばってるからあたしもがんばろうと思った。
だから大学は国立に行くって決めた。
なのにあいつときたら、


「英徳じゃねーとダメだ!!他の大学なんて行かせねぇ!!」なんて言い出すの。

「あたしはその大学で学びたいのよ。教授もすごく有名な人だし、就職もいいしさ。」


「だったらその教授を英徳にこさせればいい。」なんてめちゃくちゃな!

「就職だって道明寺で働けばいい。学費がねぇんだったらオレが出す。」


「そんなことしてほしくない!!とにかくあたしは英徳には行かないの!!!」


と、いうわけで、これがさっきの電話の一部始終。
およそ1分・・・・しかも言い合って終わり・・・・

これが遠距離恋愛をしている人達のやりとりでしょうか・・・・

はぁ・・・ダメだわ。こういう時は非常階段。


最近F3は『司には負けてられない。』とか言って、
本格的に跡取りとして仕事をがんばっている。
三年寝太郎とまで言われていた花沢類までも、ほとんど非常階段には来ていない。
それがちょっと寂しくもあり、ちょっとほっとしている。


だってやっぱり彼はあたしの一部で大好きな人だから。
それが恋愛感情ではなくても、彼の存在は大きい。

特に今、道明寺がそばにいない寂しさから余計彼に頼ってしまいそうで
そんな自分が許せない。

だってそれは彼を利用しているのと同じだから。


非常階段につくと寝っころがって空を見た。

冬の空はどうしても人の心を寂しくさせる。
好きな人に会いたいと思わせる。

ダメだ・・・・電話のこともあって泣けてきた・・・。


「我慢せずに思いっきり泣きなよ。牧野はいっつも一人で
悩むからダメなんだよ。なんのためにオレらがいるのさ。」


さっきまで寂しい冬の空でいっぱいだった視界が、
サラサラの髪とビー玉のような瞳でいっぱいになった。


「久しぶり。最近来てなかったから泣いてるかなっと思って来てみたら、
ホントに泣いてた。」クスっと笑いながらあたしの隣に腰をおろす彼。

「司となんかあった?」


ねぇ・・・・どうしてすぐわかっちゃうの?なんかずるいよ・・・

甘えたくなっちゃうじゃない・・・・


「甘えてよ。オレは利用されてるなんて思わないよ。
オレが支えたいって思ってるだけなんだから。」


あぁ・・・もう涙が止まらなくなるじゃない・・・


「道明寺はどうしてもあたしが国立に行くことに賛成してくれない。
あたしがその大学に行きたいのは学費が安いからとか、そこの教授が
有名とか、就職がいいからってことだけじゃないの。
道明寺の支えになりたいのよ。精神的な面だけじゃなくて、
仕事上の面でも支えたい。あいつだけがんばるなんておかしいじゃない。
2人の未来なんだから、あたしだってがんばりたい。」


なんとか自分の思ってることを言うと、なにやら彼は携帯をとりだした。
何をするんだろうと不思議に見ていると、こっちを向いてニコっと微笑む。
そして電話で話し始める。


「だってさ。よかったね、2人の未来のためだって。
牧野も司との結婚を夢見てるってことだよ。」


・・・・ハメられた・・・

その携帯、あたしがしゃっべてる間ずっと
つながってたでしょう・・・その会話の主と。


あたしがにらんでいることなんて無視して、はいっと携帯を渡してくる。
「いつもそうやって本人に言えばいいんだよ。2人がケンカするたびに
オレらまで巻き込まれるんだから。
もう少しケンカは控えてよね。今回も司が牧野の国立行きをやめさせろって
夜中の3時に電話してきたんだから。
まぁ牧野の顔も見たかったからいいけど。ふぁ〜・・・おかげで眠い。
それじゃぁオレ帰って寝るから。携帯は明日取りにくる。じゃぁね、素直に。」

そういって手をヒラヒラさせながら行ってしまった。

・・・・たったそれだけのために来たんかぃ!!!

本当は寝てるヒマなんてないくらい忙しいだろうに、これだけのために
来てくれたなんて、ホント申し訳ない・・・牧野つくし!しっかりしろ!!

そしておそるおそる携帯を耳にあててみると、ものすごい怒鳴り声が聞こえた。


「てめぇはなんで類には本当のこと言って、オレには言わねぇんだよ!!!」
うっ・・・ごもっともです。


「べっ別にそんなことないわよ!あんたにだってちゃんと理由言ったし!」

「オレはオレとお前の未来のためだなんて聞いてねぇ!!」

だってそんな恥ずかしいこと言えるわけないじゃない。
でも素直になれない自分もいやだ・・・


するとさっきとはうってかわって優しい声になる。

「すげーうれしい。まぁオレだけがんばるのはおかしいとか、かわいくねぇけど
お前らしいし、お前もちゃんとオレのこと考えてくれてるってわかったから、
すげーうれしかった。」


あいつの優しい言葉にまた涙が出てくる。


ねぇわかってる?どんなに寂しくてもあんたのその優しい言葉を
聞くだけで、がんばろうって思うのよ。

どんなに冬の空があたしを寂しくさせてもその言葉だけで
4年後の暖かい春の空を見ることができるのよ。


あたしは立ち上がって空を見上げた。

「あたし2人の未来のためにがんばるから。」

「おぅ、がんばれ。オレもがんばる。」


その言葉だけであたしはなんでもやれる気がする。
この寂しい冬の空も暖かい春の空に塗り替えることができる。

また寂しくなったら優しい言葉をちょうだい。

そうしたらもう2人の未来はすぐそこだよ。


「で、お前はなんで類ばっかに頼るんだ?!
その理由をきっちり聞かせてもらおうじゃねぇか。」


・・・・えっ?!!




〜Fin〜




あとがき。


実はこのお話はワタクシが初めて書いたものであります。しかーし、
これでいいのか、あたし?!って感じ。すっごいバラバラしてて、結局何が
言いたいのかっていう・・・・読み手だけにしとけばよかったのでしょうか。汗”
まぁこれから成長していくってことで。爆”←ホントかよ。
こんな文でも一言いただけるとうれしいです!
評価はやさしく、やさしく、やさしく・・・・爆”




NOVEL