なんだか胸のあたりが重い。
花びらのように舞う幸せ
せっかくの休みなんだからもう少し寝かせてよ・・・
でもそんなのおかまいなしに俺の上に乗ってる人物は顔をペチペチとたたいてきた。
「パーパー!!!起きてよぅ。ねぇ〜〜パパぁ〜〜!!!・・・ゆりちゃん泣いちゃうよ?!」
ちょっと薄目で見てみると、瞳を潤ませてとっても悲しそうな顔をしている。
やれやれと思いながらもゆっくり起き上がってぎゅっと抱きしめる。
「ゆり・・・おはよ。起きたからもう泣かないで。」
「やっと起きたぁ!!ウソ泣きだよぉ〜だ。ふふっ!」
舌をペロっと出してキャッキャッと首に抱きついているのは俺の愛娘のゆり。
今年で5歳になるゆりは見た目も性格もママそっくりで
とてもかわいいのになかなかの策士。
今みたいにクリクリした瞳を潤ませて上目遣いで相手を見てKOさせる。
こんなことをどこで覚えてきたのか・・・
わかってるんだけど騙されてしまう俺は、やっぱり親バカなのかな。
ゆりが俺を見て天使が微笑んだように笑うから俺も微笑み返すと
ゆりがとんでもないことを言い出した。
「ゆりちゃんね〜今日は、はやと君とでえとなの!!パパとママと桜を見に行く約束してたけど、
パパとママだけで行ってきてね!!!」
・・・はやと君・・・?!
誰だか知らない・・・
でもゆりがドライブをキャンセルするぐらいだからそういう仲・・・?!
「・・・ふーん。ゆりはパパよりもはやと君をとるんだ?!」
その言葉にキョトンとするゆり。
「・・・パパも一緒に行きたいの?!でもダメよ。ゆりちゃんとはやと君のじゃましちゃイヤ。
あっもう時間だぁ!!じゃぁねパパ〜〜!!!いってきまぁ〜す!!!」
ゆりは俺の頬に軽くキスをすると走って行ってしまった。
・・・嵐が去った感じ・・・
はやと君・・・はやと君・・・よし、インプット!!
この前はきよあき君だった気がするんだけどな・・・
「パパ〜いつまでも寝てると一人で桜見に行くよぉ?!」
ゆりと噂になった男の子の名前を思い出していると、
俺の愛しの奥様であるつくしがドアにもたれてこっちを見ていた。
彼女にむかって微笑むと彼女も微笑みながら側に来た。
「2人でドライブ久しぶりじゃない?!はやく着替えて!!」
「それじゃぁドライブした後ホテルにでも行く?」
バシッ!!
・・・殴られるってわかってたけどそんなに強く殴らなくても・・・
彼女は真っ赤になりながら俺の肩をたたくと、
「変なこと言わないで!!5時にゆりが帰ってくるんだからそれまでに帰るの!!」
と言って部屋を出て行った。
それから支度を整え、俺が運転して目的地へ着いた。
「類・・・ここ・・・」
つくしは驚き、そしてうれしそうに微笑む。
今日来る場所は秘密にしておいた。
つくしの驚いた顔が見たかったから。
ここは郊外にある場所で、もちろん花沢家の所有地だから周りには邪魔する人もいなくて、
春になると絶対に来ていた俺のお気に入りの場所の一つ。
そして俺たちの思い出の場所。
ゆりが生まれてからは忙しくて来れなかったけれど、
今年はゆりにも見せてあげたいと思ってここにくることを決めた。
「この桜の木もかわらず綺麗だね。」
俺はつくしと手を繋いで座り、桜の木を見上げる。
「あの時の類はホントおかしかった。いつも冷静な類が少し緊張してたもん。」
あの時を思い出してかクスクスと笑い出す彼女はふわりと俺に抱きつく。
「あの時ね・・・類に愛してるって言われてすごくうれしかったの。」
そう・・・ここは俺たちが付き合い始めた場所。
恋人同士になって初めてキスをした場所。
「あの時もこうやって桜の木を見上げていたら花びらがつくしの唇に落ちてきてキスをした。
すっごく幸せなキスだった。」
あたしもだよっと言って上をむいたらちょうど風が吹いて
花びらが蝶のように舞い、俺たちに降り注いだ。
つくしの頭や鎖骨、胸元に花びらが落ちる。
薄いピンク色の花びらとつくしの透き通るような肌が同化する。
そんなつくしがすごく綺麗でキスをした。
そして花びらの舞い落ちた場所にもキスをしていく。
鎖骨には桜の花びらよりも濃い色の花びらを落とす。
するとつくしの身体がピクンと反応した。
俺はつくしをそっと横たわらせて服の中に手を入れ、胸元に唇をはわせる。
つくしからは甘い吐息がもれる。
そしてブラをはずそうとした時、両頬をひっぱられた。
「ここをどこだと思ってんのよ!!外だよ?!
こんなところでやったらゆりに見せられる場所じゃなくなっちゃう!!」
つくしは顔を真っ赤にさせながら俺の腕を服の中からひっぱり出そうとする。
「ここでキスもしたんだし、それ以上もいいじゃん。誰も見てないよ。
もっと幸せな場所にしよ?」
彼女に優しく微笑めばきっと堕ちるだろうと思っていたが今日はそうもいかなかった。
「類、今日は何の日か知ってる?」
「・・・3月30日。」
「自分の誕生日も忘れちゃった?」
つくしに言われてようやく自分の誕生日であることを思い出した。
でもそれを知っててゆりを他の男のところへ行かせるなんてひどい。
ふつうは俺と一緒にいるもんでしょ?!
いつもは鈍感な彼女も俺が拗ねてることがわかったみたいでクスクスと笑ってる。
「あたし達には大切なゆりがいる。ゆりがいないと幸せな場所にはならないでしょ。
ゆりはね、男の子が喜ぶプレゼントがわからないからってわざわざはやと君を誘って
類の誕生日プレゼントを買いに行ったのよ。あたしが類と出かけてる間に買って、
帰ってきたらびっくりさせようってゆりが言い出したの。あの子、類に似て策士だよね。」
つくしは俺の大好きな笑顔で『おめでとう』と言って優しいキスをくれた。
「あたしからのプレゼントはいつもあげてるけど変わらない幸せ。
いっつも類にばっかりもらってるみたいだけど、類のことを一番愛してるのはあたしだよ。
これからもずっと類にはあたしの幸せをあげるから、類の幸せをあたしにちょうだい。」
いつももらってるのは俺のほうだよ。
こんなふうに幸せを感じられるようになったのはつくしのおかげ。
ゆりという2人の愛の証をくれたのもつくしだよ。
つくしがいなければ俺は存在しないんだ。
だからこれからも変わらぬ愛を・・・
だけど今日は俺の誕生日だから、もう少し欲張ってもいいかな。
俺はつくしの両腕を動けないようにして再びキスをした。
「つくし、俺への誕生日プレゼントもう一つちょうだい。・・・かわいい男の赤ちゃんがいいな。」
だって男の子なら誰かにとられるっていう感覚を味わわなくてすむからね。
そして今度は4人でこの場所に来よう。
そしたらここは俺たちの愛の深さをしめす場所になるから・・・
〜Fin〜
おまけ。
「篤志・・・そんなにママとくっついてるともう桜を見に行かせないよ?!」
「いいよぉ〜だ!!僕はママと見に行くからいいもん!!
パパはおねえちゃんと行けばいいじゃん。」
俺はあの時勘違いしてた・・・
篤志を他の奴にとられるっていう感覚は味わわなくてすむけど、
つくしをとられるっていう感覚を味わわされるなんて・・・
あとがき。
いやぁ〜〜このお話を書き上げるにあたってかなりのハプニングがありました。
このお話はいっつも励ましてくださるお友達のm様(イニシャルにさせていただきます)より
桜の木の下で花びらが落ちたところにどんどん類がキスをしていくという
ネタを提供していただいて書き上げたものでございます。
その部分を書いている時にふと気付いたらRになりそうじゃないですか!!
びっくりして書き直し。笑”
まんまとm様の策略にのせられるとこでした。笑”
でもRもちょびっと書いてその部分だけ隠せばいいかなぁ〜とかも考えたんですが
やっぱり私にはムリということで健全なものに仕上げました!!笑”←ホントかよ。
その次のハプニングはこのお話はかなり前に書き上げたはずなのに
この30日になってUPしようと探してみたら無くなってしまってたことです。爆”
マジで凹みました。だから1から記憶をたどって書き直し。
絶対最初に書いたものとはなんだか違う感じでヘッポコ。
あぁ〜〜でも類君への愛でいっぱいです!!!笑”
こんなものしか書けないけどこれを類君に捧げます!!!
類君お誕生日おめでとぉ〜〜〜〜!!!!!
NOVEL