Together
あたしは彼女失格なの。
まだ約束の4年後にはほど遠いのに、あたしは言ってしまった。
「これ以上離れてるのは無理。あんたに二度と会えない気がするから・・・」
これはあたしの本心だけど、絶対に言ってはいけないことだってわかってた。
ずっと言わないつもりだったのに、電話越しに聞こえた女性の声にストッパーがはずれたの。
「司〜はやく行かないと遅れる〜!いっつも司のせいであたしまで怒られるんだからぁ。」
すごくかわいい声・・・それだけでその人がかわいい人だってわかる
すごく甘い声・・・それだけでその人が司のことを好きなんだってわかる
嫉妬・・・この感情はきっとそれ。
不安・・・それもある。
離れてからもうすぐ1年。こんなに苦しいものだとは思わなかった。
あたしはあいつと離れてからよく屋上にいる。
ここはあいつと付き合い始めたところだから、つらくなるとその時のことを思い出す。
だけど今日はその時のことも思い出せないぐらい、あの女性の声が頭の中をまわっている。
もうやだ・・・
嫉妬深い自分がいや
あたしをここまで嫉妬させるあいつがいや
あたしは手すりに少しよじ登って、空を見上げた。
あんたは1年前、この空にあたしへのメッセージをくれたの。
でも、それはもうあたしの中では消えそうだよ・・・・
別れたいんじゃない。ただ側にいたいだけ。
あんたの側にはあたしじゃなくちゃ嫌なの。
電話では『愛してる』とか言ってくれるけど、
もうそれだけじゃ不安が消えなくなっちゃったんだよ・・・・
あと3年もあるのに・・・
これはもうダメになってしまうってことなの・・・?
あたしはため息をついて下を見る。
するとそこには見慣れたリムジン。
・・・まさかね・・・だってNYだし・・・
その瞬間屋上のドアがおもいっきり開いた。
ねぇどうして・・・どうして会いに来るの・・・?
「お前・・・落ち着けよ!話せばわかる!」
いやいや、動揺してるけどそんな行動には出してないわよ?
「とにかくこっちに来い!」
すごく慌ててる感じ・・・そっか・・・早く別れ話がしたいんだ・・・
「・・・いやだ・・・あんたの側には行きたくない!」
別れ話なんかしない・・・してやるもんか!
「・・・わかった。とにかく落ち着けよ。
で、お前がどうしてそんなことしてんのかはわかんねぇけど話し合おうぜ。」
「やだって言ってるじゃん・・・あんたに他に好きな人ができてもしょうがないけど
あたしはあんたが好きなんだからしょうがないじゃない!」
「あっ?!ちょっと待て、意味わかんねーよ。俺がお前以外の奴を好きになるはずがねぇだろ!
そんな誤解したまま死ぬんじゃねーよ!」
・・・はぁ?!!誰が死ぬってぇ?!!
「あんたバカじゃないの?!なんであたしがあんたのことで死ぬのよ!
誤解してんのはそっちでしょ!うぬぼれないでよね!」
あたしは怒ってるのか泣いてるのかわからない状態で手すりからおりて、あいつの前に立った。
「あんたが他の女の人とどーかなってもあたしは死んだりしないわよ!
あんたがその人と毎日会って、毎日仲良くしてたってあたしは死なない!
どんなに不安でも、どんなに嫉妬をしても死んだりなんてしない!!」
もう最後のほうは涙声だった。
するとあいつはあたしの口を塞いだ。
こんなことしたら離れられなくなっちゃうじゃない・・・
それは1年ぶりに感じるあいつの温かさと愛情だった。
唇が離れると、力一杯抱きしめられた。
「お前こそ誤解してんじゃねーぞ。俺がお前以外の女とどうかなるなんてありえねー。
で、お前は何に不安を感じてんだよ?!ちゃんと言えよ。」
すごくすごく優しい声でなだめるように言うあいつをあたしはずるいと思う。
絶対あいつは別れるつもりでこっちに来たんだと思ったんだもん。
そんなに優しくされると強くいられないよ・・・
「・・・電話でしゃべってる時、後ろのほうから女の人の声がした・・・」
「あぁ・・・同じ学部の奴。入学当初語学の面で結構世話になってから、よくしゃべるかな。」
よくしゃべるんだ・・・入学してからずっと・・・
あたしは月に2、3回しか電話で話せないのに・・・
「お前は俺を信じてないのかよ?!」
「信じてないわけじゃないわよ!だけど不安にだってなる。
あたしは彼女なのにその女の人よりもあんたのそばにいられない。
不安が大きすぎて自分まで押しつぶされそうだし、嫉妬してる自分も嫌だし、
もう自分の気持ちをセーブすることさえできなくなってきた。
お願い・・・この不安を消して・・・・」
あたしはあいつの背中に手を回し、ぎゅっとつかむ。
側にいたいよ・・・
「俺だってお前の側にいてやれなくて不安になる。お前が他の男に向けたらとか考えるし。
まぁ俺よりいい男はいないけど。だけど、お前には俺が必要だって思ってるし、俺にはお前しか
いないってこともわかってる。だからこそ4年離れても大丈夫だと思った。
今回は緊急で帰国したけど、これからはそんなことはしない。
俺はお前を愛してる。お前だけ。4年離れるだけでその後はずっと一緒にいられる。
これから3年後、お前は俺と一緒に歩いてくれるよな?」
答えがわかっているように言うあいつをあたしは愛しく思う。
あたしを信じてくれてるんだね・・・
あたしもあんたを信じる・・・どんなにつらくても
あんたとずっと一緒に歩きたいから・・・
「うん・・・あんたの側にはあたしじゃないといや・・・」
そしてあたし達はこれから3年後を一緒に歩くために3年分のキスをした。
〜Fin〜
あとがき。
まず最初に、キリ番の順番通りじゃなくてすみません。m(_ _)m
ゆき様のリクエストで、切ないけど最後はHappy end。。。これであたしはいいのか?!
と、自分で問います。汗”なんか無理矢理な感じですよね。。。すみません。m(_ _)m
うぅーーー。。。お待たせしたのに、このようなものになってしまいました。
もっともっとよい物を書けるよう努力します。。。(><’
ゆき様、キリ番100を踏んでくださってありがとうございます!!
NOVEL