vol.31
えぇーーー!!!!
桜子が宮川聖に恋だなんて・・・
「でもよ、あいつは牧野のことが好きなんだぜ?!」
そう、いくら兄妹だといっても血は繋がっていない。
あいつは牧野のことが好きなんだよ・・・それも司みたいに・・・。
「そんな事わかってます。私、道明寺さんのことはあきらめましたけど、
今回はあきらめません。だって先輩は道明寺さんのことが好きなんですよ。
宮川さんが入る隙なんてないんです。ですから絶対に振り向かせてみせます!」
「でもお前この前会ったときには何も言ってなかったじゃねぇか。」
「だってこの前はいろいろあって驚きのほうが大きすぎて、ちゃんと見てませんでしたし。」
まぁ確かに・・・って相手が悪すぎるっつーの!
でもまぁあいつをどうにかすればあの2人に障害がなくなるわけか・・・。
「・・・すげぇ大変だと思うけど協力するわ。」
「あたしも応援するよ!!何でも言って!!」
「俺も出来る限りのことはするからよ。」
「はい、どうもありがとうございます!それじゃぁ早速挨拶してきますね。」
さすがやることが早い。
そして桜子はつくし達のほうへ向かって行った。
その頃つくしは1人でオロオロしていた。
2人とも敵意むき出しでいろいろ話をしている。
でもあたしにはどーすることもできないのよぉーー!!!
司も聖も性格が性格だから、仲良くってのは無理だってわかってた。
それに2人は雑誌やテレビでも注目されてて、勝手にライバルの関係にされちゃってるから
やっぱり衝突しちゃうんだろうけど、今はあたしのパーティーで、
ここには他のお客様もいるってことを忘れないで!!!
つくしのオロオロはいつしかイライラに変わって、思わず叫びそうになったところに桜子が来た。
「先輩、今日は本当におめでとうございます。」
あっどうもありがとうってさっきも言ってくれたよ?!
「宮川聖さん、お久しぶりです。」
桜子は聖に向き直って挨拶をする。
「三条さんお久しぶりです。今日もお美しいですね。
今日はつくしのためにありがとうございます。これからもつくしのことよろしくお願いします。」
「いいえ、こちらこそよろしくお願いしますわ。
そうだ、私今日パートナーがいないんです。もしよろしかったらご一緒に踊っていただけませんか?」
何を言い出すんだ桜子?!
今そんな雰囲気じゃないでしょーが!!!
聖も驚いてる・・・が、
「えぇもちろん。三条さんのようなお美しい方と踊れるなんて光栄です。
さぁ行きましょうか。あっつくし!パーティー終わったら部屋行くから待ってろよ!」
なっ・・・そんなこと司の前で言わなくても・・・
あぁ〜もう怒ってるよ・・・
でも聖は兄妹なんだから大丈夫なのに・・・はぁ・・・
だけどここに司と2人でいるのはマズイわ!!!
てゆーか花沢類はどこ行ったのよぉ?!!
まったく肝心な時にいないんだからぁー!!!
「呼んだ?」
うぎゃ!!まさかあたし声に出して独り言言ってた?!
「まぁそういうことだからがんばりなよ司。」
ポンっと司の肩をたたきながら言う類。
「あいつにはぜってぇ負けねぇー!!!」
なんかすごい炎が見えるんですけど・・・
「だってさ。牧野も大変だね。」
次はつくしに向き直って言う類。
そんなぁ・・・でもなんであたしに関係あるのよ?!
あの2人のビジネス上の戦いじゃない!!
てか桜子は何?!
あーーーもうわかんなーーーい!!!!
vol.32
パーティーが終わると、あたしと司と聖はお父様に呼ばれた。
部屋に入って聖と司の間に座り、お父様とお母様を見つめる。
2人とも司と聖の間の微妙な空気に苦笑していた。
聖はなぜ司までが呼ばれているのかわからないという顔をしていて、
司も聖がいるのがおもしろくないという顔をしていた。
「まぁもうちょっと楽にしなさい。すまないね、司君。
聖はつくしの事になると私達よりうるさいんでね。」
「えぇ、そうみたいですね。」
その言葉に聖の身体がピクリと動くのがわかった。
ここにずっといたら心臓がもたないわ!!!
「あの、お父様。お話というのは?」
「あぁそうだったね。明日からのお前の名前を言っておかないとな。
つくし、お前の明日からの名前は『望月瑠璃』だ。
望月というのはお母さんの旧姓だ。どうだ、気に入ったか?」
望月瑠璃・・・あたしは明日からこの名前で仕事をするんだ・・・
お礼の言葉を言おうとしたら、聖によって遮られた。
「ちょっと待って下さい!!いったい何の話をしてるんですか?!
明日からの名前?!どういうことですか?!」
「つくしは明日から司君の秘書として仕事をするんだ。それで周りにつくしの正体がバレないよう
偽名で仕事をしてもらうんだよ。もちろん司君との関係も秘密だ。
そして明日から一人暮らしになる。念には念をってことでね。」
「なぜですか?!つくしが二十歳になったら私の秘書として仕事をさせると言ってたじゃないですか!!」
「聖、まだ私は2人の結婚は認めていない。しかしもしそういうことになったら
つくしは道明寺家に嫁ぐことになる。これは将来も含めた話なんだよ。
だからこれはお前が口を挟む問題じゃない。わかったか?!」
「・・・わかりません。だったら俺は養子縁組を破棄する!そしたらつくしが宮川の跡取りです。
とにかく俺はこの男につくしを任せることはできない!!!」
そう言って聖は部屋から出てってしまった。
・・・聖がお父様に逆らうなんて初めて・・・
あそこまで怒るのも・・・
なんであんなに怒ってるの?!
「・・・すまないね、司君。とにかくそういう事だから明日からつくしの事頼むよ。
聖のことはこちらでなんとかしておくから気にしないでくれ。
つくし、今日からマンションで暮らしなさい。今日は聖に会わないほうがいい。
もうあっちは用意できてるから。明日からがんばるんだぞ!司君、この子をマンションまで送ってやってくれ。」
「はい、わかりました。それでは失礼します。つくし行くぞ。」
「・・・はい。お父様、お母様、時々顔見せに来るから。聖・・・大丈夫だよね?!
・・・それじゃぁ望月瑠璃としてがんばります。おやすみなさい。」
いったん自分の部屋に戻り支度をしてエントランスに行くと聖が立っていた。
司はかまわずあたしの手をとって行こうとする。
「週1で帰ってこい。俺は週1でマンションに行く。あと道明寺さん、つくしは渡さない。」
それだけ言うとあたしの前に来て・・・キスをした・・・
いつものように頬にではなく・・・唇に・・・
「・・・おやすみ。」
その時の聖の顔はとても思い詰めたような顔だった。
どうして・・・どうしてそんな顔をしてるの・・・?!
今日の聖は・・・聖じゃないよ・・・
司はそのまま黙って車に乗り、つくしも乗り込んでマンションへ向かった。
vol.33
着いたマンションはあたしが想像していたのとまったくちがった。
外観からいかにも高級そうで、1期にはフロントがあり、まるでホテルのよう。
フロントの人に名前を名乗ると専用エレベーターに案内された。
このエレベーターはあたしに関係する人しか使えないらしい。
はっきり言ってこんなとこに住んでるってことだけでもバレちゃう気がするんだけど・・・。
エレベーターに乗って最上階である9階に行く。
そこにはまず指紋証明で開くドアがあった。
それを通ると玄関のドアがあった。
まさかとは思ったけどワンフロア全体があたしの家らしい。
あたしが想像してたのはお隣にも誰かが住んでたりするとこだったんだけどなぁ・・・。
そして中に入るとそこは宮川邸の内装とほとんどかわらなく、
家具も新品で、いったい何人住めるのだろうというくらい広かった。
・・・さて、どうしたものか。
さっきから一言もしゃべらない司。
顔を見ると・・・やっぱり怒ってるみたい。
原因は聖とのキス・・・だよね。
でも外国では挨拶だし、F4だって静さんと挨拶でしてたし、第一聖はあたしの兄なんだし!!
「ねぇ司?あの・・・怒ってるんだよね?!でっでもさ、聖は兄妹だし、
それに聖はほとんどロンドンで育ったみたいなもんだから、あれはおやすみの挨拶よ!」
はははと笑って言うあたしを目を細めて睨む司。
これは相当きてるなぁと思った瞬間、ソファーの上に組しかれていた。
手首をすごい力でつかまれている。
「ちょっ・・・痛いっ!・・・司?!」
「・・・兄妹があんな思いつめた顔で挨拶にキスすんのかよ?!」
とても低く掠れた声。
きっと何を言ってもダメそうな雰囲気・・・
「・・・ごめんなさい。でもホントにあれは・・・っっんっ!」
言い終わる前に塞がれた唇。
すごく荒々しいキス・・・でも思いがあふれてくるキス。
「自分の女が他の男とキスしたのを見て妬かない奴がいるかよ。」
キスの合間にふってくる言葉に息を乱しながらも答えようとするが、またすぐ塞がれてしまう。
「つくし・・・つくし・・・」
あたしを呼ぶ声が愛おしい・・・
あたしは司がヤキモチを妬く必要がないくらいあなたに惚れてるのよ・・・
ねぇ・・・ちゃんと伝わってる?
NOVEL