vol.4


それから1ヶ月。





あいつのいない生活に少しずつ慣れてきた。




それすらも悲しくて、みんなの前では普通通り振る舞えても、




1人になると涙が止まらない。






もう枯れるまで泣いたはずなのに、なぜだか溢れてくる涙はすべて彼への想い。









ねぇ、あたしのことはもう思い出になった?





あたしはあんたともう一度一緒にいられる日を夢見てるよ。














「で、お前はなんでそんなにできないんだよ。俺もう時間だから行くわ。

 俺が帰ってくるまでにできるようにしとけよ。」




「ダンスなんてあたしにできるわけないじゃない!!」




「だったらやめれば?困るのは自分だから俺は止めねぇよ。じゃぁな。」






何あの言い方!!いやな奴!!













この1ヶ月、聖との関係は少し変わった。





と言ってもホントに少しだけど、ちょっとだけあたしの面倒を見てくれてる。




だけどお互いのプライベートな部分には一切口を出さない。






聖がどんな傷をもっているのかあたしにはわからないし、




あたしの傷を聖は詳しく聞こうとはしない。





それが少し救いだったりする。









この傷が癒えるまでは誰かにあいつの事を話したくない。




あたしとあいつだけの共通の痛みだから。




それだけでもあいつと繋がってるように思えるから。















夜はいつもバルコニーへ出て声を押し殺して泣く。




あの月にあたしの想いをあいつに届けてもらえるように。







ガチャ・・・






隣の部屋の窓が開いて聖が出てきた。




泣く姿なんて見られたくないけれどいつもは何も言わずに泣かせてくれた。





けれど、その日はちがった。









「お前って結構弱い人間なんだな。ダンスのレッスンも投げ出すし、

 毎日泣いてばっかで自分がアホらしくならねぇの?泣いて何が満たされるんだよ?!」





かなり挑発的な言い方に、あたしは悔しくなった。




「・・・聖に何がわかるの?!何も知らないくせに・・・聖みたいな冷たい人間になんかわかんないわよ!!」





言った瞬間後悔した。




こんな事を言うつもりじゃなかったけど、あたしとあいつの想いをバカにされたみたいで許せなかった。




すると聖はそんなあたしを鼻で笑った。





「そうやって自分だけが悲劇のヒロインぶって自分を慰めて少しは楽になるのかよ?!

 俺はそんな感情子供の頃に捨てた。子供の頃からそんな想いを経験した俺に言わせれば

 お前の痛みなんてかすり傷ぐらいにしかならねぇよ。そんなので泣いてるお前は哀れだな。」









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